第1回 AccessibleToolsコンテスト 2次審査結果と講評

発表:7月9日

ご応募いただいた皆様、ありがとうございました。 主催しているラボの中で「いつか作ってみたい」と話題になっていたものから全く新しい発送まで、様々なアイデアが提案されました。 中には某所のMLで議論に上がったものの私が忘れていたアイデアも複数あり、こういった機会を通じてアイデアを開発者と共有できる場の必要性も実感いたしました。

最優秀賞になったのは、「タイピング練習ソフト」でした。 音声読み上げで使用できるものが世の中に一つもないわけではない。でもそれでは満足できない。という現状が伝わってくる応募メッセージでした。 みんなで問題を投稿できたり、ランキングに参加したり、自分の成長を実感したり…。いろんなアイデアが思い浮かびます。 スマートフォンの入力ばかり早くなってPCのキーボードが打てない人も増えているといわれる昨今、必要性は増してきているのだと思います。 開発難易度も高くないので、これを機会に楽しく練習できるソフトが開発されるとよいですね。

今回、既定の応募数を集めることができなかったため、2次審査と賞品の内容を変更させていただくことになりました。 主催している当ラボとしても初の試みで、応募条件が厳しかったこともありこのような結果となってしまいました。 2次審査や結果の発表を楽しみにしていただいておりました皆様、私たちの不手際でこのような結果となってしまい、大変申し訳ありませんでした。

私たちは、開発者の団体としてこのコンテストを主催しました。募集にあたり、「実現できるものを募集する」、「応募されたアイディアを公開する」という条件を入れることで、第三者もアイデアの実現に参加できるよう考えてまいりました。 まずは主催者の私たちから、9月に1つのアイデアを実現させ、リリースできればと計画しています。 もし、ここにあるアイデアを新規に実装して実現しようという方、既に実現されているという情報をご存じの方がいましたら、ぜひ私たちにご連絡ください。 応募者を含めて多くの方にご利用いただくため、重複した開発によるロスを防ぐためにも、情報を公開させていただければと思います。 また、開発に参加したいという若い方がいらっしゃいましたら、新人エンジニア候補者の募集もしておりますので、ご連絡を頂ければと思います。

No.4 タイピング練習ソフト

応募者:チームハーネス

最優秀賞

実現性:14点

インパクト:14点

初めてパソコンを触る方はキーの配列など理解されていませんが、就労面からも迅速で正確なタイピングが必要です。弱視の方には、既存のタイピングサイト(eタイピング)などを使って行って日々練習しておりますが、全盲の方は良いソフトがありません。かなり前に私が作ったもので練習しています。全盲の方でも、正しい指使いが覚えられるタイピング練習ソフトがあればと思います。

No.10 三文字の熟語をNVDAのOneCore音声が正しく読めるようにするアドオン

応募者:鈴木 聡

優秀賞

実現性:14点

インパクト:9点

NVDAでWindows OneCore ボイスは広く一般的に使われていますが、こいつの弱点が三文字の熟語を正しく読めないことです。

例えば技術力、攻撃力、仮想的などは辞書登録なしでは正しく読めません。正規表現を使って二文字の漢字の後に力という漢字が出現した場合は力をひらがなの「ちから」に変換するという辞書を作ることもできますが、初心者には難しい操作なうえ、「未入力」などの例外もでてきます。

そこで、漢字二字が続いて最後に特定の漢字が出てきたらひらがなに変換する、例外にもうまく対処するというのをアドオンにまとめてみたら便利だと思います。対象の三文字目の漢字として「力」、「的」、「性」、「者」などがあげられます。NVDAを長年使っていて既にほとんどの言葉を辞書登録してしまっている方には導入するメリットが薄いかもしれませんが、そうでない初心者には一つ一つポチポチと辞書登録する手間が省けてとてもいいと思います。

No.1 AIの学習能力を活用した自動点訳サービス・ソフト

応募者:青木

3位

実現性:8点

インパクト:14点

個人の点訳知識の有無に関わらず、誰もが墨字テキストデータを点訳することができるツール。AIに公開されている過去の点訳データを学習させることで、日本語の文章でも高い精度で分かち書きをすることができる自動点訳ツールを実現する。これにより、テキストデータさえあれば、誰もが高い精度で点訳を行い、点字ユーザーが指を通して精読できる文献を増やすことができる。また、点訳ボランティアの負担を減らすこともできる。著作権や、有償で点訳を行っている機関の職域を侵害しない範囲で、日本語点訳技術の効率化を実現する。

No.8 オブジェクトの階層 いっぱーつ!

応募者:ほのかっぱ 太郎

4位

実現性:12点

インパクト:9点

エクセルやWebなどのオブジェクト階層構造をJAWSなどのオブジェクトカーソルで探索するのが大変。画面の構成要素がツリー計上で表示され、構造が把握できるツール。

No.3 Web版Twitterのタイムラインでのカスタムニックネームを設定するブラウザアドオン

応募者:鈴木 聡

5位

実現性:11点

インパクト:9点

Web版でTwitterのタイムラインを閲覧する時にはJキーとKキーを使って読んで行くのが一般的だと思います。しかし、ユーザー名がとても長いアカウントだとツイートの本文を読み始めるまでに時間がかかってしまいます。そして長いユーザー名を使っているアカウントはとても多いです。絵文字をたくさん入れたり所属企業を入れたり、予定を入れたりと様々な長い名前があります。

そこで、FirefoxアドオンやChromeアドオンで、ツイッターIDごとにニックネームを割り当てて、タイムラインの名前をそれで置換できればとても時間の節約になって便利だと思います。理想としてはツイートにフォーカスが当たっているときに何かしらのショートカットキーを押すと入力ボックスが開いてそこからニックネーンムを指定できるのが理想です。以前まであったTwitter閲覧ソフトのTwBlueではこの機能がついており、とても便利でした。

No.9 名付け親 拙者がつけてしんぜよう。

応募者:ほのかっぱ 太郎

6位

実現性:8点

インパクト:8点

エクセルやWebで、代替えテキストのないボタンやマウスでしか押せないレ点(チェックボックス)などがある。画面の押せないリストとその位置情報や機能などがリストアップできるツール。リストをシステム管理者に送付したり、位置情報で自分で代替えテキストの対応ができるとよろこびます。

No.5 マウス練習ソフト

応募者:チームハーネス

7位

実現性:5点

インパクト:8点

弱視の方の仕事の候補として、事務補助が考えられます。その事務補助の仕事内容で結構あるのがデータ入力です。墨字印刷されたものを拡大鏡などで認識して所定のセル内に打ち込むという作業です。

ここで問題なのが、漢字の読み方がわからず、漢字変換できないということです。晴眼者の場合、IMEパットなどで手書き入力して漢字を特定します。手書き入力にはマウスのドラッグ操作が必要です。ところが、弱視の方は、このドラッグ操作が苦手な方が多く、又、特別支援学校でもあまり教えていないようです。ドラッグ操作の練習、そしてドラッグで文字が描画できるような練習ソフトがあればと思います。